はこぶね造り


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はこぶね造り 1

 

 まず、映画や音楽が大好きな人にはお分かり頂けると思いますが、映画館である映画を見て感動し、いつか自分の部屋でもう一度その映画を観て感動したい、またはその雰囲気を再現して浸ることが出来ればいいなあ、と思うことがあります。テレビで観るのとは違う感動を我が家で再現したい、そんな部屋があればいいなあ、と。

 月日が流れて、私には現実にそれがある程度実現するかもしれないチャンスがやって来たのです。所謂世間で言う家造りと言われる機会でした。しかし、実際にはハウスメーカーや音響メーカーのAVショールームのようなものはとても手が届きませんでした。しかし、どうしてもこの機会に自宅で映画を堪能出来る専用の部屋が欲しいという願いは捨て切れませんでした。

 そこで、もっと現実的で例えばそのお手本になるようなものがあれば、と考え参考にしたもの、それが「長岡鉄男のスーパーAV」の本だったのです。この本には、音響建築専用ではなく、住宅用一般建材によるホームシアターの造り方が書かれていました。

 ここでは、如何にしてそれをコピー(?)し、ローコストに自分の条件にアレンジして部屋造りをして行ったか、という過程を少しづつ紹介して行きたいと思います。また、WEB上では人気サイト「船長の戯言」で、くずてつさんが「箱船への道」にシアタールーム建造を詳しく、わかり易く解説されていますので、私のホームページでは以下の点をメインにした、一般住宅居の中にリスニングルーム造り込む「はこぶね造り」を紹介して行きたいと思います。

・住宅環境からVA専用ルームを別棟に出来ないので、それをどうするか?

・また、家族が常に家にいる場合に、どう共存出来るようにするか?

 では、少しづつですがその様子を写真で紹介したいと思います。これからリスニングルームを造ってみよう、リフォームしてみよう、または直ぐには無理でも何時かはやってやろう、そのつもりで希望を持っている、と言う方々の少しでも参考になれば、、と思っております。

 

はこぶね造りの構想案


さて、下図は実際の間取とは正確に同じではありませんが、考えた流れを簡単に説明するためのものですので、そのつもりでご覧ください。

 

構想概要  
 まず、左の平面図3種類は実際の構想案の過程で、1、が初めに考えた外部への遮音を考慮した場合の間取り案です。外部に面する壁が一箇所だけになりますので、近所への遮音には有利です。この案は長岡先生の本にもあります。しかし、現実に我家だと廊下がとんでもない長さになる上に、隣の部屋への音漏れの点で現実的ではないので結局ボツになりました。
   

 
 2、は壁の遮音工事は1より厳重にする必要がありますが、VA環境としては邪魔の入らない理想的な方舟などの別棟タイプです。が、我家でこれを実現すると、住居の建ぺい率の問題で住宅部分もリスニングルームも有効面積が減り、また、既存市道通路から建築法上セットバックをさせられるという理不尽な土地規制もあり断念しました。また、この案は建物を2つ造ることになるわけですから費用も倍近くかかると言う点でも絶対無理でした。
   

 
 そこで思いついたのが3、のように、住居とリスニングルームを別棟にしないで、廊下をリスニングと住居の区切りとし、住居側への遮音に役立てて、余る間取りの問題は納戸等で有効利用し、廊下で音が聞こえても、住居側では少なくとも生活に支障がない程度に何とか工夫しよう、ということで「住宅一体型」と言うアウトラインを考えたのです。

2階についても、リスニングルームの上には音が聴こえてもよい間取りと構造を考える、ということで本格的に構想を練り始めました。
   

もう一つの案  
 ここでもう一つの案があったことも書いておきます(図A)。それは、「1階部分を全てリスニングルームにしてしまう」案でした。

 この利点はリスニングルームの大きさがとても大きく取れると言う点と、2階以上の間取りは生活のために自由に決められると言う点です。

 問題点は、リスニングルームをリビング兼用とするならば、家族の了解は取り易いのですが、専用ルームとする場合は、特に高齢な家族がおられる場合、実用面で問題が出てくることです。必ず2階に上がらないといけないので面倒だと言われるかもしれません。また、建ぺい率より容積率を良く考えないといけません。そうなると地下と言うことになりますが、今度は予算の問題が出てきます。

 どちらを取るかというのは、敷地の条件や家族のことを考えて決定するのが良いでしょう。案の一つとして紹介しておきます。

 ただ、この案も個人的にはやりたかった方法ではありましたが、、。

   

 

はこぶね造り実現への努力

 

 しかし、実はこの時点はまだこの案が思い付いたからとはいえ、本当に「はこぶね」を造っても良いと言う「家族親戚の許可」は出ていなかったのです。頭の中に図面と構想は出来ていても、家族に反対されれば実現出来ません。ここからは、とにかく了解を得るまで真剣に話して、話して、話して、、説得に1年半かかりました。もう殆ど毎日ホームシアターの団らんを説くように、必死で映画のことに引き込もうとしました。

 また、これと並行して頭の中は間取りの構想で考えて考えて、、、という日々が続きま した。何故か長岡先生の記事を思い出します。「枠は必ず必要である、枠に縛られて四苦八苦して考えを絞るから良いアイデアが出る。」つまり、枠とは制限の意味だったのだと思います。

 また、その後やっとシアター専用ルームを造っても良いと言うOKが出てからも、今度はそれを実際に請け負ってくれる建築業者を探すのにも半年近くかかりました。ローコストを第一に考え、それで何とかしてくれる私本位の業者を探すのですから、これまたとんでもない話でした。

 幸いなことに良い工務店に当たったお陰で、本当に実現の道が開かれましたが、これが今回の一番の幸運であったと感じます。建設会社の社長さんや設計事務所の建築士さんと工務店の職人さん達が、実にアイデアマンだったのです。何故なら、素人の私が考えたアウトライン図面を、殆どそのままの間取りで今度は建築基準にパスする、本当の設計図面へとしてしてくれたお陰で、工事を着工することが出来たのです。これは家を建てた経験のある方だとお分かり頂けると思いますが、なかなかプロは素人の思うようには動いてくれないものだからです。


 

 

断面略図  
左図がその上記の概要を断面化して簡単に図解したものです。もちろん、図は実際の寸法その他は正確ではありませんが、基本的な構造はお分かり頂けると思います。

リスニングルームの所だけにコンクリー トと後述のALCという建材を使います。とにかく建築コストを出来るだけ下げるため、建物全体は鉄骨構造にして、はこぶね側はその鉄骨にコンクリートを撒き着付ける、という方舟と同じ構造を選びました。ただ、方舟は図の住居部分にも(実際には住居としては使用されていなかった)外壁にALCを使用されておられますが、私のはこぶねは、一般的な住居用サイディングボードを使用しています。

つまり、私はもう一工夫して、家側は普通の軽さですが、更にここで重量負荷とコスト削減のために、はこぶね2階も普通の家構造としたのです。こうすれば重い部分ははこぶね一階だけで済みますし、コストも有利と考えたのです。

これが私の最大の苦肉の策で、方舟、そして箱船と決定的に違う点で、一体構造にし、更にコストを下げるためのアイデアです。

職人さんが言うには、今回の私の考えたはこぶね構造は、作りつけのお風呂(!)の考え方と似ているそうです。

   

 

はこぶね造り着工

 

地盤補強  
まず、地盤補強から行います。先記の図面から考えると分かりますが、建物片側が重くなる、ちょうどアンプで言うと、片側にトランスとコンデンサーがあり、もう片側にプリ部がある「重量バランスが右左で違うアンプ」のような建物ですから地盤補強が必要でした。

ソイル柱と言う、丁度筋肉注射のような手法で、地面にやわらかいままのコンクリートのようなもの注入してから固めると言う方法でした。この柱の上に鉄骨の基礎が来ますので、敷地全体に埋まっている分けではありません。

   

掘る  
そして、今度は基礎のために地面を掘るのですが、2階の天井を2.4メートル、はこぶね内の天井を3.7以上にしようと単純に考えていたので、私は半地下!にすることにしていました。これは高さ制限(建築法)をクリアするためだったのですが、実はちょっと失敗しました。

よく考えたら、2階の天井は完全に平らである必要はなかったので、変形天井にすれば部分的に2階は2、4メートルは確保出来るし、そうすると1階は半地下にせずに地面(GL)からそのまま床面にすることが出来たのです。つまり、半地下コストと防水工事が必要なかったのに、、と、後で自分の誤算に気付きました。フラットな天井にこだわらないのなら法規のクリアも出来ていたのです。しかしもう遅い、始まっている、、。

   

捨てコン
それではここからは、はこぶねが出来上がって行く順を追って解説して行きます。写真が小さくて見難いかもしれませんが、お許しください。

さて、地面を掘った後に今度は割栗の上に捨てコンを流し込みます。これは本当に捨ててしまう、というより、地固め見たいな感じでしょうか、補強とはまた違う意味です。


捨てコンならし
打ち込んだ捨てコンをならして、固まるまで待つこと少し。

段々コンクリートが固まってくると、ここで今後音楽を聴くようになるのか、と冷たい床を想像しながら気持ちは複雑でした、、。本当にこれで何とかなるのかな?。

しかし、これはまだまだあくまでも捨てコンですから、二度と見ることはなくなります。何だかもったいないような気がしますが、まだ工程は始まったばかりです。


防水工事
捨てコンが乾いたら、今度は問題の防水工事でした。長岡先生の本に、防水工事はコールタールの匂いが凄いので大変だ、と書かれていましたので、私はかなり覚悟してたのですが、職人さん曰く「それは湿地帯の地盤ではそれぐらいの防水が必要だけど、ここはそう言う地質ではないのでそこまでの手法はとらない」と言われてちょっと意外でした。よく見ると、何と我家の工事はゴムシートを接着剤で止めて行く程度のシンプルな工事でした。

でも、一応半地下だからちょっと心配でした。本当にこれで良いのかなあ、もし時間が経ってから水が湧いて来たらどうしようか、、、と。


床下コンクリート
今度は、防水シートの上に、床下のコンクリートとなるコンクリートを打ちます。

この上にスラブ(配筋)を組んで、いわゆる基礎の土台が出来上がります。割と手が込んでいるなあ、と思いつつ自分で眺めていても、通りがかりの人はもちろん知らん顔でした。興味を示す人はいませんでした。

でも、たまたま近所で下水工事をしていた別の工事人さんはやはりプロなので、見た途端「地下室つくるの!?」と、この工事が半地下であるということは、一発で見抜いてしまいました。やはりその道のプロは、恐るべしです。


基礎用枠
枠の内側をよく見ると、鉄の棒が出ていますが、これは、これから組む基礎の配筋の位置を正確に合わせるためのようです。外側は、上記のように角柱の鉄パイプで固定しています。コンクリートはかなりの重量があるので、たったこれだけでもかなり強力な枠組みです。

ただ、これでも我家の場合は、くずてつさんの箱船などに比べると、配筋の量は少ないようです。これは、我家が「鉄骨造(S造と言うそうです)」であり、箱船は「鉄筋コンクリート造(RC造と言う)」のためなのです。我家はS造にコンクリートを巻きつけるという考え方でした。方舟もS造です。


基礎コンクリート
さて、ここからは、乾いた床下コンクリート用の上に、配筋を組んで、更に再度床下コンクリートの仕上げとなるコンクリートを打ち込みます。

本当は、このとき配筋の写真を撮りたかったのですが、仕事に行っていたため、残念ながら撮ることが出来なかったのです。

まだオーディオルームというよりお子様プールでも造っているように見えます。


これは?(石)
ここで一つクイズです?。コンクリートの床下の配筋の近くにある、石が見えると思いますが、さてこれはなんでしょう?。

石の下には四角い発泡スチロールが敷いてありました。写真が悪いので分かりにくいのですが、、、。


答え(水溜め用の穴)
答えは水溜め用の穴でした。分かってしまうと、なんだそういうことかと思いますが、はじめはなにかのおまじないかと思いました。でも、これは今後、半地下にした際に、万が一水が床下に出たときに、対処するための大切なものなのでした。床下点検口の下にここがくるのです。

床コンクリート用の枠組み
さてここからは、はこぶねの本当の床となる部分を作るための、型枠を組んでいきます。

写っている3人の職人さんは、今回我家の工事を殆ど全てこなしてしまう、何でも屋の、凄い人たちです。また、アイデアマンでもありましたので、相談すると色々な技を披露してくれました。


床枠と配筋完成
そしてこれが床用枠の上に配筋を組み上げたところです。ここまででもかなり時間のかかる作業でした。とくに配筋組みは一本一本鉄筋を組んで、それを小さなワイアーでくくりつけて行き、ずれないようにしていくので、見ているこちらは頭が下がる思いでした。写真では見えませんが、とても手間のかかる作業です。

中央にみえる四角と丸い穴は、ここにコンクリートが流し込まれ、床下の補強となるための型枠です。


床コンクリート打ち
そして、ついに床用コンクリートの打ち込みですが、天気が悪く雨が降ったり止んだりでした。

ただ、ご存知の方もおられるかもしれませんが、コンクリートを打つときは、晴天よりはこれぐらいの方が良いのだそうです。でも職人さんは大変そうです。


 

 

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