2011年

11月度

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2011/11/18
ADプレーヤー製作(その2)

 さて、9日後だが、遅いと言わないように、さぼってませんから。(笑)

 実は現在使いこなしに入っているのだけれど、出来上がったものは、どうしても自作による完成のうれしさから冷静さを失うので、贔屓目になる。だが、オイラはちょっと変人なので、時間を置いて客観的に考えたい性格なので、わざと時間を置くようにしているのだ。

 というわけで、今日は完成編。

 まず、DSアームへのピンプラグ台の取り付けは、写真のようになる。(これも前側にゴムカバーが付く)アームへの取り付けは、DSアームに元からある高さ調整兼ストッパー(アームがすっぽ抜けないようにしてある)用の3つのネジ穴にステンナットで固定する。

 これだと高さ調整をすると、コードごと上に持ち上がるのだが、これも計算に入れて設計しているので、このアームの高さ限界調整まではまったく問題ない。

 本来ここには、オートリフトアップの光学系部品が付いていて、もっと複雑になっている。このため、この程度の応用は問題ないと勝手に判断してこのようにする。

 その後、これの前側に半田の結線を行うが、凄く微妙な部分なので、細心の注意を払って作業をしないといけない。今回は半田にアルミットKR-19というものを使用したのだが、理由は単に手持ちにあったからである。可能な限り今回は「あるモノを使う」のだ。

 ただ、半田による音の違いは実はかなり大きい。これは、自作リード線を作成&販売されている方のものを使用したことのある人なら理解出来ると思うのだけれど、使う場所によっては、半田の違いで線材が変更された位の音の違いが出ることもある。なので、ここはかなり経験がないと適切なものを選択するのは難しいかもしれない。

 僕はアンプ自作経験がないので、今回はこの半田にする。アンプ自作ではお馴染みらしいので、あまり深く考えないで選択したわけだ。

 次に、ここでもう一つ重要なのは、このKP-9010は(KP-1100も同じかもしれないが調べていない)アースが一点に集約されているようで、アーム内のアースに、アーム本体、及びターンテーブルのアースを全て落とさなければそれぞれのハムが出る。しかも、出方が低いのでとても分かりにくい。でも、「音には確実に影響する」ので絶対に外してはいけない。(スペアナで計ると分かるがSN比に影響する。)

 なので、今回はアーム台が樹脂なのでナット部分からエナメル線でアース端子に結線をしておく。(重要)

 これは余談だが、このプレーヤー(KP-9010)を持っていないで、当時補修部品扱いのみでこのアームを手に入れた人には非常に分かりにくかったはずだ。結線していないで、音はこんなものだ、と思っていると実は大間違いなのだ。

 そう、今回はモーターにSP10MKIIIを使うので、このアースもフォノイコライザーに必ず落とさないといけないのだ。EPA-100MKIIの場合は殆ど出ないので外している人もいるはずだが、DSアームは違う。このアームはノイズに非常に敏感なのでこちらも絶対必要なのだ。(勝手に単体化するからだけど・・・)

 さて、この後は先の超々ジュラルミンのベースにアーム台ごと取り付ける。高さがかなりあるが、これはアーム台をそのまま使う設計だから、ここで少し工夫が必要。

 それは、今回はベースの上で、角度を内側4度程回転させて取り付けることも出来るようにしてもらった。

 何でか?

 このアームは、SP10MKIIIに台座ごと組み合わせるには、オーバーハングが足りない。SP10MKIIIが四角いベースだから、ぎりぎりまで内側に寄せても調整が難しいのだ。

 ではどうするか?と言うとアームを後ろに引くか、内側に振って取り付けるか、のどちらかになるわけだ。なので、今回はそのどちらでも選べるようにしてあるのだ。ここはヒヤリングで決める要素を残しておきたいと思ったのだ。

 で、最終的に写真のようになった。10年前と比べると、かなりスッキリして個人的には格好いい。

 ウエイトは一応2種類用意して、片方は少し重量を増やしてある。タングステンがこれまた手元にあったので、これを後ろに寄せて巻き付ける。これはアームが上がった時に、リフターガイドに当たらないようにするためだ。

 このアームの欠点は、経年変化によりウエイト取り付け部分のゴムが劣化して、後ろが少し垂れ下がって来ることがあるのだが、これを考慮に入れてそうしてあるわけだ。(細かい野郎だと言わないように)

 ただ、個人的には重すぎるウエイトは音も悪くなる、と言うか、本来の重量ではなくなるので(針圧計が必要だが)、どうしても必要な時に使う。裏技として、重量を付加しないで、ウエイトを反対に挿す方法もあるが、ここは使いこなしで述べたい。

 ここまで来ると、オリジナルアームを弄り回して、ガタガタにしているように思われるが、実は本体のアームそのものには、「半田付け以外の一切の改造を行っていない」ので、簡単に元に戻るのだ。ここが今回の一番のこだわりでもある。改造なのに、何も無かったように元に戻せる、というこだわりだ。

 

 さて、出来上がって早速音出しする。

 と、簡単に言っているが、実はここまで来るのに試行錯誤しながら、やっとハムが出ない状態を見つけて音が出たんだけど。。(笑)

 で、それはいいとして音はどうか?と言うと、、

 まず、ここで問題発生。今回はフォノイコライザーにAD-290とC-27を使うのだが、手頃なフォノコードがないので、テクニカを買う予定だった。RCAなので何でも使えるのは良いと、。

 が、その後気がついたのだが、これをC-27に使うには、1,5mでは長さが足りないのだ!我が家の環境では、1,7m必要だということに、最後になって気がついて大慌て。(アホである)

 しかも、テクニカは5ピン用なら延長出来るが、RCAだと1,5mタイプしかない。何とも皮肉だが、気がつくのが遅かった。

 ま、他にもコードは色々使えるから、RCAにしたことは間違いではないだろう。(今更5ピン用に作り直しは出来ないが、バージョンとしてそれもありかもしれない。)

 なので、仕方なく今回はメインのTSW5000silverを外して、メインのEPA-100MKIIは純正コードに戻してヒヤリングに入った。こため、フォノイコライザーはAD-290を使用する。

 擬人化をするのは嫌いだが、EPA-100MKIIが怒っているかもしれない。「コイツのために俺のを持っていくな〜!」と。。

 で、それは良いとして今度は本当に本番のヒヤリングだ。

 まず、音が出た瞬間、・・・普通である、。

 今までに比べて、僅かにしなやかさが減って鮮烈さが増したように感じるが、普通に「今まで通りの針の音」がする。

 良い音だ、切れ込み、繊細感、奥行き感も文句なし。

 だが、いや、ちょっと待て!あっ、あれ!?と思った瞬間に、今度は驚きの心境というか、絶句である。

 そう、これはトーンアームがまったく違うのにだ!!

 なのに、殆ど同じような好みの音がするという事実。

 どういうことか?

 比較相手は、手持ちのメイン、EPA-100MKIIである。信じて疑わないオイラのメインアームだ。これと比べてこの音だということ。だって、違和感がまったくないのだから。

 今回は右側にメインのEPA-100MKII、左にDSアーム、モーターは同じSP10MKIIIで、テーブルシートもパイオニアJP-501。針を右のアームから左のアームに付け替えて、フォノセレクターを回すだけで厳密な一対一比較が出来る。

 もうオイラは10年ぶり位にひっくり返ってしまった・・。

 これはDSアームが針の持つキャラクターをそのまま引き出していることになる。

 そう、DSアーム、これはやはりもの凄い性能だ、。恐るべきハイCPトーンアーム、と言うか、今更ながらに目を見張る程の高感度、高性能トーンアームだ。

(当時でもEPA-100MKIIが13万円なのに、こちらは補修部品で17000円位だった。)

 また、これは今回の単体化が大成功だとも言える。

 何故って、音はKP-9010本体とは明らかに違うからだ。メインの音がする、または、「針の音」がするのだ!

 しばらく呆然としてしまった。

 もう使うことはないと思って、部屋の片隅で埃をかぶって置物になっていたDSアームが、突然10年ぶり位に叩き起こされて、勝手に(?)単体化されても、いきなりこの音である。

 確かにゴムの劣化はあるようだが、それでもウチのメインとこの位の差で鳴ると、流石にオイラもEPA-100MKIIも(?)顔が引きつる、というか、石になりそうだ。

 もう某I氏に大感謝であります。

 調子にのって、更に針を交換してみたが、アームの動作は非常に安定しており、MC-L1000、AT-OC9III、EminentGL、TT-30E、エリックローマン、AT-33ML-OCC、どれも外盤A級系には抜群のパフォーマンスを見せる。CD裸足の超鮮烈LPだ。

 ここで、当時の師の記事を思い出してみる。

 「アームが抜群」、と何処かで書かれていたような気がするが、よく覚えていない。KP-9010としての評価には「カートリッジ次第」と書かれていたのは記憶にあるが、正にその通りだと今さらながらに大きく頷いてしまう。

 尤も、当時は市販レコードプレーヤーでは当たり前の標準アームだったわけだが、。でも、僕はその恩恵をどこまで感じることが出来ていただろうか。ちょっと反省しなくてはならない。

 また、単体化は僕が10年前に始めたことではなくて、大昔にまだ評論家ではなく、一マニアの市川さんの記事を真似ただけだから、これも二番煎じ、いや、それこそ、今さら二郎(?)、か。

(お後がよろしいようで・・・スミマセン)

 

 さて、まだ更に掘り下げてみたいので、今度は色々チューニングを施して厳密に音の比較をしてみることにする。(つづく)

 追記:お決まりですが、今回のネタは改造なので真似は厳禁&無保証です。

 

 

 

 

2011/11/09
ADプレーヤー製作(その1)
 さて、まーたさぼっているな、、と思われるかもしれない。が、そうじゃない。只今没頭中なのだ。

 そう、遂に製作開始である!

 先月の続きだが、久しぶりの工作なので、ADプレーヤーの製作課程を解説していこう。

 まず、@から。(先月参照)

@最終的に出来上りはこうなっている。見た目は今のメインとほぼ同じだと思われるが、微妙に違いがある。(元々は長岡先生の1987年(!)9月号のステレオ誌の製作記事の応用だが、改めて師の汎用性の高い設計に感謝である。)

 今回の変更点は、オリジナル設計にもう一枚18mm厚のシナランバーコア板と、5mm厚のシナ合板を追加してモーターベースの高さを調整している。これはKP-9010のアーム(以下DSアームと呼ぶ)の高さが、台座まで含めるとかなり背が高いのでこうする必要があるのだ。

 本当は21mmのシナ合板の方が良いのだが、近所に売ってないのと、手持ちに無いので仕方なくこうなった。通販も考えたが、コスト重視だから我慢だ。

 但し、写真のように、中心に来る板はシナ合板になっていて、鉛のベースを支えるには十分な強度バランスにしてあるつもりだ。また、高さ調整用板はサンドイッチにして、静止摩擦を利用しているので、複層のダンプ効果も狙う。また、今回は余り板とシナランバーコア板を使ってコストを抑えたが、結果的に今のメインとほぼ同じ重量になるので、多分問題はないはずだ。

 尤も、コストを度外視すれば、もっと硬度のある材料を使うのが良いのは分かっているが、ここが今回のこだわりの一つだ。

A次にリフターの使い勝手と、ルックスを考えて、今回はプロの某I氏に写真のような凄いものを作ってもらった。これが非常に素晴らしいのだ。

 まず、原案の考え方は、リフターはマニュアルで下ろしたい。こうなると、以前同様に山本音響工芸のリフターが必要になる。でも、DSアームに付いているリフターを遊ばせるのは格好が悪い。そこで、色々アーム周りを考察して、リフターをリフターで下ろす構造にすることを考えた。

 元のDSアームのリフターは、バネ式になっていて、これを電動モーターで上下している。今回はアームを単体で使うので、電動は無くなる。しかし、このバネ式は安定しており、常に一定の降り方をすることが分かっている。そこで、山本音響工芸のリフターを電動部分の代わりにマニュアル操作用に使い、これでDSアームのバネを上下することにしたのだ。この山本リフターは、オイル方式で割と早く降りる。

 降下を比べると分かるが、山本リフターの方が速度が早い。では上手くかないか、と言うとそうではない。これが上手く行くのだ。

 温度が高い時は、山本リフターが先に落ちるが、アームが上から押さえる形になるので、実はちゃんと一体で降りる。温度が低いときは、山本リフターの方が遅くなる。しかし、今度はアームが上から押さえる力と、バネが戻る力がこれを助けるので、これまたちゃんと一定してリフターは一体で降りる、のである。!

 ここは何度も検証して調整をしたのだが、某I氏の設計が非常に上手く出来ていて、これが実に具合が良いのだ。遅過ぎない、早過ぎない、カートリッジの重さにより極端に速度が変わらない、と。

 ならば山本リフターを鉛ベースに置けば同じじゃないか!?と思われるが、実は違うのだ。下に置くと、今度は摩擦により返ってアームが途中で止まってしまうのである。(これが盲点なのだ。)しかし、山本リフターをアンチスケーティングガイドに固定することによって、微妙に斜めに付けることが可能なので、上手く重量配分出来るようになるのだ。しかも、アームの高さ調整をしても、リフターは常に一定の場所に来る設計なので、一々ねじ調整しなくても良いので実に具合が良いのだ。

 しかも、素材はアルミブロック削りだしで、ワイヤー放電加工により、仕上げはDSアームそっくりのデザインと色で、純正さながらの出来上がりで驚いてしまう。。しかも、取り付けはネジ一本で簡単に固定出来て、更に強固でびくともしないから凄い。

 「実はこれ、KP-9010を買った人だけが買えた、密かな純正パーツなんだよね」なんていう悪戯が出来る程の仕上がりで素晴らしいのだ。(売ってませんので悪しからず)(笑)

 実際にEminentGL(総重量29g)、MC-L1000(総重量28g)、オーディオテクニカATT-30E(総重量19g)までテストしてみたが、全て安定して降下する。これが実に良い感じなので、つい嬉しくなって、アームを上げ下げしてしまう程だ(アホだ)。いや、本当にこれは大成功!。見た目もうっかりすると、メカニカルな市販アームさながらでとてもカッコ良い。

Bさて、今度は肝心のアーム下の処理だが、これもプロに依頼したもので、とてもよく考えられている。僕が原案したものは、アルミのコの字アングルを使いピンプラグを付ける形だったが、プロはひと味違う。

 また、某I氏がやはりオーディオマニアでもあるということを実感してしまった。「アースや絶縁を考えると、ここは非導通の素材を使う方が、結果的に良いのではないか?」ということで、硬質プラチックを考えてくれたのである。勿論、プラスチックと言っても、オーディオ用としては、例えば電源パーツではトップエンド製品に使用されているものと同じ素材らしいので、強度はかなりある。

 これは後で分かったことだが、「導通カットすることは大変だが、後から導通することは簡単に出来る」、という当たり前のことが、実は大きな助けとなったのである。多分、金属だったら失敗してやり直しになっていたところだったのだ。某I氏の先賢の目に感服である。

 次に、これは僕の以前からの念願だが、ピンジャックだけは、信頼性のある高級品を使いたかった。なので、ここはWBT社のWBT-0201ジャックを使用した。これなら殆どのピンプラグを受け付けるので、RCAのケーブルなら何でも接続出来る。ただ、高級品と言っても、今ではWBT社も更に上のクラスが出ているので、今回のグレードは実は一番安いクラスになるんだが・・・

 ただ、かなり以前から多くの製品で使われている信頼性からすると、これはやはり採用して良かったと思う。

 一つだけ不満があるとするならば、実はこのピンジャックを取り付ける工具(WBT-0299)がディスコンになっていることだ。輸入元のTEAC社でも既に廃盤だから困った、。これは何処かで買えるだろうか?(情報求む)手での締め付けではやや緩いので、ここだけはちょっと気になる。尤も、これは使う頻度が極端に少ないから仕方ないのかもしれないが、。まあ、接点の接触性は確保出来ているのでひとまずは大丈夫ではあるけど。

 また、アースはYラグとバナナ端子両対応として汎用性を更に上げてもらった。これは使いやすい。

 そして、最終的にこのパーツを、ナットでアーム下の高さ調整ストッパー用のねじ穴に取り付けるのが今回の構想。これでアームは半田以外は全て無改造で使えることになる。

Cさて、最後の依頼パーツとして、今回はアームベース取り付けに少しバリエーションを考えてみた。これは鉛に直接DSアームを取り付ける前に、一旦別のベースに付けて、これを鉛に固定する方法を考えたのだ。

 何故か?というと、ここで音の変化が出せると判断したからだ。これは以前のDSアームを使用していた時に感じたことだが、鉛は確かに比重が大きく鳴きが少ない。しかし、それでも鉛固有の鳴き音があるのだ。また、このアームは先に書いたが、ベース部分が重要な鍵を握っている。このベースが本来はアルミダイキャストのごついX字フレームに固定されている。この考え方が肝なのだ。

 これについては、分解してアームを単体で使ったことがないと実感出来ないと思う。ここが強靱でなければこのアームの良さが出ないのだ。だが、ここを一工夫することによって、好みのサウンドを作り上げることが出来る可能性があると判断したわけだ。

 そこで、このベースの選択バリエーションを考えた。某I氏が提示してくれた素材は6つ。アルミ、超々ジュラルミン、ステンレス、真鍮、カーボン、そして、最近流行のチタン、だった。

 もうどれも涎が出るものばかりである。(笑)これを誘惑と言う。全部やってみたいのだ。

 ただ、今回は初の実験部分なので、あんまり投資は出来ない。そこで、予算とカンでまず一つ決めた。

 そう、EminentGLでお馴染みの、超々ジュラルミンに決定。コスト対使ってみたい度が、これが一番CPが高いと判断。

 実はチタンにしたかったのだが、価格が7倍もするので断念したんだけど、。。

 さあ、次は組み上げだ!(つづく)

 

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