つれづれ日記(番外編)

2004年

4月度

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G70のオーバーホール日記

 


現状確認
 オーバーホールの前に、まずは現状のレジストレーションデーターの値と設定の確認を行います。(データー破損などの、トラブル時復旧用のため)

 更に、VPH-G70QJ(以下G70)の、入力AにBSデジタル入力している場合に、何故か入力B側にノイズが不定期に出てくる、と言う現象を確認して貰う事にしました。

 この日は、運良く(?)この現象が現場で確認されたので、サービスマンに症状を観て貰いました。幽霊現象とならないで済みましたので、予想では、一部の基盤の不良かもしれないとのことで、そこを交換することに決定しました。


何やら測定?
 さて、次は全白モードで何やら測定していました。(補正していますが、部屋は実際は真っ暗です。)

 その後は、CRT劣化による現状のフォーカス性能(ビームのフレアやダレ)と、レジずれを確認して貰いました。

 コメントは、「5年使用2000時間で、この程度のフォーカスずれは、非常に個体の状態が良いと言えます」とのことでした。

 ま、お世辞でしょうが。。「良くない」とは言えないもんね(^_^;)。

 でも、我ながら大切にしていたのは事実ですし、決め手は「置き台が動かない」と言うことでしょう。G70込みで多分140Kgはあります。


サービスマン・ガイド
 更に、基盤の不具合が何処かを特定するために、G70の配線パターンをサービス・ガイドを見ながら、信号の流れを追いかけて行きます。

 特約店設置マニュアルではなく、サービスマンが使うガイドブックなのですが、厚みが12センチ位もあり、中身を見ると、もう「3管マニア」ならワクワクするような、このG70専用の技術情報がビッシリと書かれていました。おおっ涎が、、。(^^ゞ

 残念ながら、門外不出の資料なので、写真はご法度ですからモザイクです。(ゴメンナサイ。)


さあ分解!
 さあ、手順が決まったら分解して行きます!。

 何時もは見ないその姿は、個人的には、映画「ターミネーター」を連想しましたが、流離いの旅人さんから、「キカイダー」とのご命名(?)を頂きました。(^^)

 そう言われれば、確かに、、メカニカルで、何処となく哀愁漂う感じ(?)があるので、「キカイダー」の方がぴったりかもしれません、、。(脱線)


レンズ
 G70を購入してから、今回初めてレンズを外しました。

 3管ユーザーには考えられないかもしれませんが、不精な性格の私は5年間そのままでした。

 はこぶねは、一般のリスニングルームと違い埃が極端に少ないとは言え、やはり時には綺麗にしてやらないといけません。

 勿論、個人でやる際は自己責任ですから注意が必要です。 


CRT面の清掃
 全てのレンズを外したところです。

 今まで気になっていた埃を、エアーダスターで吹き飛ばし、その後専用のレンズクリーナーと、クロス(ちゃんと部品番号があるのです)で綺麗に拭き取ります。

 やっぱりクリーンな状態は気持ちが良いですね。ピカピカです。

 最後に感じたことですが、輝度が僅かに上がり、白いシーンでのハレーション現象(全体が僅かに白く粉吹いた感じ)が無くなりました。

 メガネを拭くのと同じ現象ですね。


レンズの焼き付き
 これはレンズの焼き付きを確認しているところです。

 やはり、2000時間使用していることと、最近では、輝度の高いRGBやハイビジョンを入力して、更にスクイーズ画面にしているせいか、焼き付きは確かにありました。

 これを改善するには、CRT交換しかありませんが、現在の画角では気にならないので、今回は交換しませんでした。

 本当は予算がなかったからなのですが、、。


解体は続く
 さて、今度は、サメの背びれを取り、、3枚におろして、、ではなくて、上部を開けて内部の基盤を外して行きます。

 また、埃の有無や目視による基盤劣化、溶けなどを細かく確認して行きます。

 何だか、怖いもの見たさのような気分とは裏腹に、持ち主としては落ち着かない光景です。

 「焼けていますね」、なんて言われたらどうしようかと、、。(汗)


基盤ブロック
 まるで、車のボンネットを開けたような感じです。

 CRTの付け根は、当たり前ですがテレビの感じです。

 3管をご存知ない方が見られると、多分、何の写真だか分からないかもしれませんね。(^^)

 また、ここからは、時間を掛けて基盤確認やら交換を行ったのですが、残念ながら説明に夢中で写真を撮り忘れたのと、一部公開出来ない社外秘的な技術部分があるとのことだったので、これは写真を載せられません。m(__)m

 サービスを受ければ分かることですので、ご了承ください。


内部全体写真
 さて、床置きの場合に、後ろから内部を確認した時の様子です。

 ここで感心したのは、G70の構造は、まるで良い意味でのパソコンのように各基盤がスロットル式になっていて、整然と配列されている、と言うことでした。

 ストッパーを外せば、それぞれが簡単に取り外せる構造です。

 ま、そうでないとメンテナンス出来ないのは言うまでもないのですが、、。


基盤確認
 左にある基盤には、ヒートシンクが付いています。

 これが汚れて放熱が悪くなると、本体の故障に繋がると言うことでした。

 その他内部ファンも確認してもらい、基盤一部交換と、内部清掃を完了させて、再度組直します。

 埃は極めて微量だったので、清掃はすんなりと終わりましたが、ここまでのトータル時間はかなりかかっています。


信号調整
 元通りにG70を組みなおすと、次は各種基準信号を入力して、動作確認します。

 これは基準信号なので、実際の絵とは違うため、完全に狂っていないことを確認したら、本調整に入ります。

 でも、こう言うの好きです、「測定器」。(笑)


レンズ・フォーカス調整
 さて、いよいよ本格的に調整をして行きます。まずはレンズフォーカスを合わせ、上下のあおり角を調整し、またズレが生じるので、またしてもレンズフォーカスに戻り、、と言う気の長い動作を行い、最終的に画面全体のフォーカスが均一に取れるようにしていきます。

 R、G、B、全て行いますので、時間は必要です。

 また、これは素人がやると、更に物凄い時間が掛かります。合わせ方が難しいと言いましょうか、経験により勘所を知らないと、まず上手く行かないのです。更に、最終的な絵に関係して来ますので、要とも言える部分です。

 レンズそのものの歪みも影響しますから大変です。


電磁フォーカス
 本体でのレンズ調整が終わると、G70は、電磁フォーカスの調整を行える機能が付いていますので、これを実施します。

 機能としては、スクリーンに写す電子ビームが、「真円」になるように調整して行くものです。

 これは非常に便利な機能ではありますが、厳密に調整をするのは、かなりの慣れと経験が必要な、最も難しい調整でもあります。

 今回は何と、これだけに1時間位費やして追い込んでくれました。(フォーカス性能を良くしたい、と言う僕の要求に、最高の調整を目指してくれたためです。)

 これには本当に頭が下がりました。


レジ調整
 写真の関係で画がズレていますが、入力信号ごとに調整を一度確認します。

 まだ、この時点ではテストパターンのみでの調整ですので、完全に合っていませんが、更に実際の入力信号で調整するので、これで良いのです。

 


入力系統選択
 ここからは、実際の映像を写しながら、最終的なレジ調整を行いますので、それの準備として入力系統をどうするか決定します。

 今回は、入力AにY、Pb、Prでハイビジョンを入れ、入力BにはIFB-1400とIFB-12をそれぞれ差し替えた場合の、全ての信号調整を行うことにしました。

 一応優秀なRGBデコーダーも用意したのですが、バッファーが入らない状態での基本調整が始めは良い、とのアドバイスを頂いたので、先にバッファーなしで行く事にしました。

 ところで、改めて感じたのは、G70は標準ボードAよりも、増設ボードのIFB-12の方が、何故か高周波数では画質が優秀なので、RGBは入力Bに入れることにしました。

 内部は途中で混合になっているので、入力ボードそのものの帯域幅が効いているのかもしれません。不思議です。


信号調整
 厳密に調整を行い、RGBは解像度1920×1200、リフレッシュレート60Hzと72Hz、1920×1080、リフレッシュレート72Hz、1920×1440、リフレッシュレート60と72Hz、Y、Pb、Pr、IFB-1400で525Pと、更にバッファー入り、入力画面全てで、文字が完全に読める状態まで追い込み、全てをセーブして完了です。

 簡単な解説ですが、既に8時間!経過していました。

 お疲れ様でした。m(__)m


ハイビジョン
 まず、ハイビジョンY、Pb、Prで、実際の画像を鑑賞してみます。

 文字は非常に綺麗に表示され、ドットの感じが分かる位クッキリとして、とても気持ちが良いものでした。

 また、色温度も適切で「白が白に」見えるのは、嬉しいものです。

 ハレーションが以前より気にならなくなり、明るいライブのシーンは「生」のイメージがありました。

 

 


調整の威力
 走査線のスダレ状態はどうかな、、と思ったのですが、これが何と!高解像度にもかかわらず、高精細で何故か走査線が目立たない、写真のような画が実現出来ました。

 素晴らしい!の一言です。

 無理難題とは知りつつも、始めに自分好みの絵の要望をお願いしたためか、むしろ調整する側には、ターゲットとなる映像がはっきりしていたため、それに合わせた手法で全てを調整してくれていたわけです。

 これぞ、プロ。流石です。もう脱帽圧巻です。

 今回のオーバーホールにより、心置きなくG70の残りの半生を楽しめそうです。

 オーバーホール大正解!、また、素晴らしい技術の方に巡り合えたことに感謝しております。 更には大変勉強になりました。

 SONYさん、本当に有難う御座いました。m(__)m


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