2009年

3月度

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※注: 先日から掲示板への自動スパムが多いので、パスをかけました。パスは僕の現在のネッシーの使用ユニット「○○○○○○○○」(ハイフンなし)を半角としました(笑)。駄目ならまた変えます。

 

2009/03/19
VP50Pro
 さて、先月のDLA-HD100使用レポートから時間が経ったのは訳がある。

 色々と実験&検証、そして新機材の導入もあったのである。

 まず、導入したものは、DVDO社製のビデオプロセッサー(デジタルスケーラー)、「VP50Pro」である。(写真真ん中の青いランプが付いている機材。)

 その上に写っているのは、その兄弟分として最近発売になった同社製、これまたビデオプロセッサー「Edge」である。(こちらは借り物)

 実を言うと、EdgeはHD100を導入する前に一度テストしたのだが、この時は僕のプロジェクター環境がG90しか無かったので、その恩恵を受けることが出来ず、真価を見極めることが出来なかった不運がある。

 正直言うと、、ちょっと今回は選択に失敗してしまった感も僅かにあるのだが、僕はVP50Proを導入したのだ。後述するが、固定画素にはEdgeの方が画質も動作も相性が良いのである。

 ところで、僕は3年前に同社製のVP30という同じくビデオプロセッサーを導入していた。勿論、VP50Proが来る日までは現役だった。これはDVDからハイビジョン時代に入った頃のデジタルスケーラーなので、特に放送のハイビジョンを1080P/60化表示する点においては非常に優れていた。この頃は、手元に3管だけだったのでアナログ機材表示のための最後のスケーラーとして入手したわけだ。

 が、その後もアナログデバイスのニーズが国際的にはあったことから、VP50、そして今回のVP50Pro、とモデルチェンジで進化して来た経緯がある。ただ、現状では流石に世界的にCRTユースは無くなったので、Edgeのような簡単なプロセッサー路線になったようだ。

 で、今回こそ本当に最後のアナログ環境を、ということで5BNC付きのVP50Proを導入したのだが、これがなかなか考えさせられる部分もあった。確かに画質は良い。が、VP30とVP50Proの差は意外に多くて、どちらも一長一短だった。

 ところで、何でこのご時世に「単体スケーラー」なんぞが要るのだ?という意見もあるが、それは見たことがなければ分からないかもしれない。が、やはりアンプ内蔵、またはデッキ内蔵、またはPJ内蔵、のビデオスケーラーだけでは、性能上、機能上、無理な部分もあるのだ。

 なので、機能的な面、画質、を求めるならスケーラーの威力はまだ確実にあると言える。これがアナログ表示デバイス時代とは一味違うデジタル表示デバイス時代の利点でもある。アナログは途中に経路が入ると劣化があるからだ。勿論、使い方や接続を良く理解していないと、デジタルでも画質は確実に劣化するので、多少知識と経験は必要だ。

 例えば、HDMI経由でAVアンプを通した映像と、直でPJに繋いだ場合、またはスイッチャーを経由してPJに繋いだ場合では、確実に画質は変わる。これはまだ指摘している人が少ないのだが、我が家で3台のHDMIスッチャー、6台のHDMI付きAVアンプをテストした限りでは、かなり差が出るということは分かっている。

 結局、当然だが何も通さないのがやはり画質には良いのだ。なので、通すなら確実に通すメリットがあるものを経由させるべきで、だからこそスケーラーは吟味しないといけない。

 さて、その威力がだが、特に、今回のVP50ProとEdgeは、固定画素PJにおいて「24Pは入力出来るけれども、逆2-3プルダウンは出来ない」、というPJを持っている場合には非常に重宝出来る機能があり、今回の導入決意にはこれがあったのだ。

 今後は必ずこの逆2-3プルダウンは主流になると僕は予想している。

 何かと言うと、例えばWOWOWのHV映画放送を逆2-3プルダウンをかけて24Pで出力したものを、HD100に入力すると、正直、字幕がなければ市販のBDと見分けが付かない状態の動きになってしまうのである。(注:元が30フレームのビデオ収録映像は不可)

 少なくとも、それほどマニアではない人に見せた限りでは、画質面、動き面で、どちらが放送か見破れなかったのも事実なんである。

 実は今年から、安価なPJにこの機能が付いてきた。放送の映画も出来る限り「映画的動き」で見たいというユース向けだが、非常に好感が持てる機能である。

 安価PJでの先駆けとなったのは、今年のエプソンTW4000等などがある。この機能をいち早く搭載しており、手軽に安価に家庭に提供する、と言う点において素晴らしい開発着眼視点を持っていると言える。

 それまでは、逆2-3化と言うと、SONYのVW200などのハイエンドな高級PJ機、または、これまた高価な固定画素TVの一部にしかこの機能はなかった。

 しかし、これをもっと手軽に提供しないと、市場は開拓出来ない。つまり、消費者に対しては「新しい知恵の恩恵を提供する」ということが必要なのだ。

 このためか、最近ではBDプレーヤーの方にこの機能が付いているものが出て来たので、今後は必ず必須の機能になるだろう。但し、どの部分でそれを受け持つかは、まだ今後の製品の形態によるだろう。(PJで全部やるのか、デッキがやるのか、どちらも備えて来るのか、など。)

 何でもそうだが、受け手は知らなければその後の市場は活性化しない。なので、これからは映画のコマ数を出来るだけそのままの動きで表示することによって、映画的な画質を楽しんでもらう、という動向で市場は動いていると思う。

 ところで、実は3管時代にも24フレーム倍速の市場はあった。が、周波数の関係から48Hzか72Hzになるので制約が多かった。

 まず、48Hzはシネマライクどころか映画館そっくりにはなるが、映像としてはチラツキが多くて、一般家庭で観るには少々マニアック過ぎて嫌われる部分が多かった。また、48Hzは表示出来てもPJ側にも得手不得手もあって、僕も48Hzは大の苦手だった。(画面がチカチカして目が疲れる。)

 僕が使っているSONYのGシリーズの3管は、バルコなどに比べると、同期の関係からも低い周波数の表示があまり得意ではないからだ。

 では72Hzだとどうかというと、これは確かにチラツキがなく、それでいて映画フィルム特有のフリッカーのみが出て、ある意味では映画館を超える画質を再現出来るが、今度は周波数が高すぎて一部のPJでないと表示出来ないという制約があり、これまた一般的ではなかった。

 また、当時はむしろ2-3プルダウンの方に重きを置いていた時代だったので、何処まで2-3プルダウンが滑らかに出来るかを競い合った時代なので、動向が今とはまったく違っていた。

 それから時代は流れて、固定画素時代になった。

 固定画素の利点として、24Pを入力して、倍速表示すると、映画フィルム特有の動きでありながら、チラツキがあまり気にならない、という良さがあり、これが現状の流行だ。

 ここで誤解が多いので書いておくが、固定画素でも24Hz、48Hzなんかをそのまま表示すると、当然チラツキは出る。(対応周波数とEDIDが対応している場合に限るが、PCで強引に実験すれば分かるはず。)

 しかし、入力されたものをパネル側で倍速表示する手法が出来るので、現状のように、動きは滑らかになるがチラツキがなく普通に観られる、ということだ。

 で、折角この固定画素次第なのだから、24P入力の倍速表示をやらない手はない。少なくとも、現状で24P入力出来ないPJを選択する理由はないはずだ。

 

 さて、話を戻してVP50ProとEdge、使ってみた感想だが、アナログ表示には当然VP50Proだ。

 ただ、IP変換の手法が以前使っていたVP30とは違うので、多少動きがぎこちなくなる部分はある。これは激しい動きの場合、一瞬だけ動きが追いつかなくなるような感じで、ひっかかりが出る。これに比べて、VP30にはこの症状が一切無い。ただ、VP30はアナログで言うと、ラインダブラー的と言うか、単純に周波数倍速をかけたような感じなので、静止画像では少しフォーカスが甘くなる。ただ、動きのあるシーンではVP50Proよりも解像度が上がる。VP50Proは丁度この逆と言える。

 ま、そうは言っても、やはり単体スケーラーの威力は絶大で、PJだけでは補正しきれない部分も動かせるので、価値は大きい。願わくば、VP50Proにディープカラー対応と1080P/72Hz表示を許可して欲しいところだが。

 さて、今度はEdgeの方だが、こちらはHD100でしか使えないが、価格がVP50Proに比べて安価である。デジタル出力に的を絞って設計されているので、動作も非常に安定している。ハイビジョン放送の1080P/60表示はVP50Proとエンジンがほぼ同じと言うこともあって、VP50Proに似ている。ただ、HD100に24P化表示をしてみた限りでは、VP50Proよりも更に色濃く、コントラスト感があって、白ピークが良く伸びて絵に力がある。また、色合いも黄緑が強いHD100の欠点を補うように、濃い色でありながらも色合いが自然になり、発色が良い。

 VP50ProとEdgeは微妙に色あいが違うのだが、HD100に使うならEdgeの方が良い。また、24P化のスムースさも優秀で、これならBD(市販)を焦って買い込む必要はないのではないか?という気もする位楽しめる。

 勿論、BD(市販ソフト)はこれまたEdgeを経由することで、独自のエッジエンハンサーを効かせることが出来るので、非常に解像度感が高く好感が持てる。

 この機能は、所謂単純なシャープネスと違うので、滲みが殆ど出ないままエッジを立たせることが出来るので、正にデジタル技術様々である。

 ま、そういうわけで、24Pは入力出来るが、PJを買い換える予算はない、でも、放送の逆2-3を観たい、という向きには安価で手に入るEdgeはお勧めである。ただ、こちらもディープカラーには対応していないので、注意は必要だ。(とは言え、放送も元は8ビットなので拡張が良いかどうかは表示デバイスによる。)

 補足:

1,VP50ProはHueが調整出来ないが、Edgeは可能。しかし、色合いはPJの限界値があるのでそれを超えることは出来ない。

2,Edgeは現状のファームでは48Hzは出力できない。

3,Edgeは最近注目の音声と映像を分ける機能を持つが、何故か音は少し変化する。(少し柔らかくなる)

 さて、今日は長くなってしまったが、確実に実験と検証が進んで来たので、我がはこぶねのVは、G90を超えるものが出るまでは、やはり二刀流でしばらくいくことにする。(つづく)

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