2007年

8月度

HOMEへ つれづれ日記TOPへ

 

 

2007/08/29
進化は止まらない

 さて、8月は仕事柄、趣味の方は開店休業が多い。そろそろ転職した方が良いかもしれないな、(笑)でも、僕は殆ど進歩しない人間なので、時が止まっているのかもしれない。なので、全然気にしない。

 さて、冗談はさておき、最近は次世代ディスクにはまっている。環境はHTPCだが、以前の旧世代マシンとは大きく変わっていて、全然別の世界になっている。勿論、これがベストだとは思っていないが、現状のように映像系は変化の激しい時期なので、静観する意味でもこの方が冷静になれるのである。

 ところで、もうHTPCは終わりだろう、と思って止めてしまった人も多いと思う。

 でも、物事、必ず少しづつでも進歩しているのだ。何事も、途中で止めたらそこで終わり、でも、そのままのらりくらりと続けていると、気が付くと以前とは比べものにならない程進んでいる、なんてこともある。

 ところで、「ビジュアルマニア」は常に新しいものに貧欲で、何でも新型が気になる、というのが僕の個人的な見解。兎に角、最先端、新技術、スペック至上主義、比較大好き、と言った感じか、。

 しかし、「オーディオマニア」は、ちょっと違う。どちらかと言うと、新しい事に保守的であり、気にはなるけれども、出始めの赤ん坊状態をつまみ食いして、直ぐに「これは駄目だ」と、それ以後は触らない、ということが多いのではないか。でも、これではいけない。

 僕がそうかもしれない。

 ところが、そうでない人、どころか、常に新しい試みにチャンレンジされて、決して保守的にならない人もいるわけだ。

 そう、ご存じSY-99さんである。

 で、今日は、新着のディスクを少し紹介したい。

 何かと言うと、これは何と1BitDSD収録により作成されたDVD-audioなんである!

 ここでちょっと説明が必要だが、現在、個人でSACDを作成することは出来ない。一部、SONY製のPCにより、DSDディスクと言うのを作成する方法があるが、これは決められたSONY製PCに付属するソフトが必要である。実は、これが今非常に興味のあることなのだが、環境が限られるのが実におしいと言うか、難点である。

 このアプリを製品として売って欲しいものである。そうすればもっと楽しみは増えるんだが、。

 そこで、今回は次善の策として、1Bit録音で収録したものを、96Kz/24Bitまたは48Kz/24BitのDVD-audio形式にしたものがこれなんである。

 しかも、元の収録はMR-1000により5,6448Mhz(1Bit)のサンプリングで録音されたものを使っているのだ。本来SACDの標準規格では、2,8224Mhz/1bitだが、それよりも高いサンプルリングで収録したものをPCMに変換していることになる。

 気がかりなのは、SACDではなくDVD-audioになっていることだが、これは上記の理由で仕方がない。

 で、内容と解説についてはSY-99さんのページを見ていただくとして、まず音の感想だが、「音の風景2007 八ヶ岳」は、これまでの氏の録音とは明らかにひと味違うのが一聴して感じられる。

 正直なのところ「まるで違う」と言って良いかもしれない。

 非常に音がスムースで細かいと言うか、自然体そのもの。鋭さのない、それでいてSN比が良いせいか静寂そのもの。このためボリュームを調整する感覚がいままでと違うのである。どの辺りが良いか、探るの感覚が違うと言うべきか、何とも不思議な「落ち着きのある音」なのだ。しかも、静寂さは今まで以上にあり、音が大きくなる感じにオーディオを聴いている感じがないのである。

 これが元収録がPCMではなくって、DSDだからなのか、それとも機材の違いなのか、この時点ではまだ判断出来ない。

 確かに、僕はフォーマット特有のキャラクター音はあると思っている方だ。例えば、市販のSACDとDVD-audioを聞き比べると、やはりなんとなく違う。どちらが優れているかは別にして、SACDはどことなくシルキータッチの繊細微妙な分解能の広がり感を感じる反面、ガツンと来る、力感、パワー、立ち上がり、良い意味での角が立った印象、と言ったものはもう一つに感じることがある。

 でも、DVD-audioの方は、この繊細微妙な感じとはまた違った分解感と言うか、しっかりとした彫りの深さと、CDとはまた違ったDレンジの広さに魅了される部分があるのだ。

 また、収録のサンプリングよりも、bit数が増えると、明らかに音に厚みが増して、より力感と密度が上がったリアルな感触を感じることが多い。(惜しくは、両者共全然一般には普及してない点だが、。)

 これは他のフォーマットでも同じような違いを感じることがある。

 例えば、僕は以前から書いているように、ドルビーデジタルの音が苦手だ。どこなくビット感と言うか、PCMに比べて、荒さ、ギスギスしたチリチリ感が、ある意味では迫力に繋がるのだが、ずっと聴いていると疲れてしまう。いびつで大味な感じと言うか。

 聴いて直ぐ判断出来るのか?と言われるとそうではなくて、急にDDばかり聴いていてPCMに変わると、ハッとする、と言う感じで、何となくやはり「何か」を生理的に体が感じているのではないか、と思うわけだ。

 が、これでもまだ足りない。その不満がDVD-audioではかなり解消された。以前、アナログADをDVD-audio化したことがあるが、一度これをやると、CDに焼く気は無くなるのである。これもやらないと分からない。

 勝手な想像だが、僕はCDの歴史によって、PCMに体が慣れてしまっていて、その上位フォーマットであるDVD-audioの音が好みに合うんだと思う。

 最近は映像の方も色々フォーマットが増えて来たが、確かにDVD-audio互換のTrueHDは何故か好みに合うと言うか、確かにこれ位なら楽しいなあ、なんて感じる部分はある。勿論、PCMと比べるとやはりなんとなく違う感じはあるんだが、少なくともDDを聴いた後は絶対この差は分かる。

 

 が、続いて「音の風景2007 会津只見号C11325」を聴いて、僕はショックを受けてしまった。

 冒頭の汽笛の後の蒸気の音は、今までにない程の繊密さとリアリティーで、驚いてしまうのである。。。

 これは絶品だ。恐ろしい程の生々しさと言うか、本当に水蒸気の発するその湿り気までも連想すると言うか、何とも素晴らしいのである。ハッキリ言って、これは今までの音とは違う。

 汽笛の音だけはもう一つパワーが欲しいが、これは汽車の操作側の問題である。むしろ、それが分かってしまうのである。

 ここで僕は言いたいのは、この音は最終形はDVD-audioであり、SACDではない。でも、でもである、今までこの手の音源を収録したものは、SY-99さんから沢山聴かせて頂いているので言うが、それらとは「音の感触が違う」のである。

 これはある意味でハイブリット収録なのだろうが、これこそが元がやはり1bit収録特有の音のキャラクターと言うか、メリットを残しているのではないか?と思うわけだ。

 実に繊細透明で、自然でありながら、屈託なく見事に吹っ切れるような音なのだ。しかも角がないのに迫力があると言うか、実に不思議な感触に、部屋が一瞬「その場」になってしまう驚きがあるのだ。

 これは是非、DSDディスクにしたものとも聴き比べてみたいものである。(注:この場合も最終的にはPCMに変換されるが)

 また、実はマイクロフォンについても、幾つかのノウハウがあるらしいが、これはある意味でSY-99さんの技なのでここでは書けない。でも、紛れもなくこの収録は「無加工」なんだから舌を巻いてしまう。

 

 それにしても、やはりSY-99さんは凄いと何時も感じてしまう。生粋の「オーディオ派」でありながら、常に最先端まで網羅してしまわれる。絶対に保守的にならない以前に、恐るべき行動力なんである。

 これは見習わないといけない、と思わず反省してしまう。。。

 何故って、まず、選り好みは絶対にしない、やってみてから冷静な判断を下す。そして利点は全て生かす。やってみないで決めつけない。

 これが素直に出来るマニアにはそう多くないはずだからだ。

 この際、「マニア」という言葉はふさわしくないので、「パワーユーザー」とでも言わせてもらう。

 さて、今回のSY-99さんの収録では、今後以降の3、4作目はもうどんなことになってしまうのか、想像するとちょっと怖くなる位である。

 (SY-99さん、今回も恐るべき次世代録音を有り難う御座いました。)

HOMEへ つれづれ日記TOPへ