2013年

2月度

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2013/02/28
USB-DACを試してみる(その3)

 さて、、やはり更新出来なかった、。色々ありすぎて2ヶ月のご無沙汰である。ただ、お陰で検証も色々取れたので、ひとまず最終レポートをする。

  まず、意地の悪い(?)試聴用のソフトは写真の通り。初めにちょっと古いCDを取り出してみた。

 「鳥の楽園セイシェル」はお馴染みCD最初期頃の環境音楽。「スリラー(国内盤)」は沢山持っているが一番古いと思われる愛聴盤を選ぶ。これは初版ではないが90年代頃発売のもの、のはず。「frofro」は優秀録音だがデジタル時代になってからのDDD収録。

 それから、友人にマランツCDR-17というCDR-Pを使って、アナログレコードをダイレクトにアナログコピーでCD化してもらったもの。これはSheffieldのダイレクトディスクのレコードを、僕が知る限り最高のアナログ再生環境下で再生してCD化されたもので、音はLP直と我が家で聴き比べても、CDフォーマットとしては驚く程、元の音にかなり肉薄するレベルのもの。僕の手元にも同じアーム・カートリッジ・ターンテーブル・フォノイコ機材、同じレコードがあるが、リアルタイム再生でもかなり元のイメージに近いのを感じる位凄いのでテストによく使う。黙って聴かせると、レコードを再生していると勘違いした人が何人もいるのだ。デジタルの恩恵だ?

 「フランソウワ・クープラン」は最新の録音。「Bon Jovi」は、これまた最近流行のSHM-CDリマスター盤である。

 下写真は、SY-99氏の生録だが、DVD-Audio化されたものと、何と5,6MHzと2,8MHzのDSDのダイレクト録音(オリジナルマスター)からの一部である。これはDSF型式で、誤魔化し無しの正真正銘の2CHワンポイント収録で、更に所謂最先端のハイレゾ音源と言えるもの。ただ、SY-99氏の収録としては、既に5年以上前のものなので、ある意味SY-99氏の先進的、先見の明は凄い。この当時PCオーディオは今の状態ではなかったはず。

 3枚目の写真は、有名どころのリファレンスレコーディングスのハイレゾ音源2枚。個人的には左のブリテンのSACD版が特に良いのだが、今回はそのハイレゾファイル版。176.4KHz/24BITとちょっと特殊。

 さて、これらを最新のUSB-DACでPC再生するのだが、ちょっと厄介である。

 先月も書いたように、「CDをそのままリッピングして再生しても、正常な再生が出来ない」場合があるのだ。少なくとも、今回テストしたDS-DAC-10とTEAC UD-501では無理だった。

 しかし、ネットにも雑誌にもそんなことは一切書かれていないので、自分なりに検証する。

 まず、CD Manipulatorというアプリを使い、パソコンのドライブにCDを挿入して、サブチャンネル解析ボタンを押す。これでプリエンファシスの欄に「なし」と表記されればそのままPCで再生出来る。が、そうでない「50/15」表記となる場合は、そのままPCで再生すると、ハイ上がりの特性の狂った音になり、鑑賞や評価どころではない。でも、これに気が付かない人が多いので特に注意したい。

 今回確認したところでは、セイシェルとマイケルジャクソンは、案の定どちらもプリエンファシスが掛かっていた。つまり、PCで再生する場合、この状態では扱えないのだ。(CDからそのまま再生しても駄目である。)これを修正するアプリがあるようだが、今回はやっていないのでこの2タイトルは除外、というか、こういう説明はオーディオ誌には一切書かれていないので自己判断とする。

 「PCオーディオはスキルのある人だけがやるもので、そんなことが分からないようなヤツはやるんじゃないよ、」というスタンスなのか?。ではオイラは対象外ということになるかな・・・。でも、オーディオマニアの皆さん、これ全部確認してからやっているんですか?と僕は聞きたい。とてもお手軽なもんじゃないのだが、。

 なに、配信ファイルしか再生しないから関係ない?ということなんだろう。

 強引に再生してみたが、現用のTEAC−VRDS25XSでは普通に再生出来るが、PC再生では「ハイ上がり特性の変な音」になってしまい、実用にならなかった。

 で、こうなると使えるものは残りの音源だが、今回はCD−Rを使う。これならプリエンファシスは関係ないし、CDと同クラスの44,1KHz/16BITで検証出来る。

 ハイレゾ時代にこれはお粗末なんじゃないか?という意見もあるが、僕は現状のCDと比べてPCの音が満足出来るレベルにないと意味はないと思っているので、まずはCDクラスで試してみるのだ。

 さて、まずはDAC-10の方から。ドライバーをインストールして、専用のAudioGateというアプリで再生する。このアプリは条件付きでフリーで使えるし、フォーマットの変換も行えるので人気があってかなり有名だ。

 で、音はどうか?まず初めに現用のVRDS−25XSでCDを聴いてみる。その後、DAC-10で同じように聴き比べてみた。DAC-10の第一印象の音は、まろやかでややおっとりした音の印象。ピアノのタッチは弾ける感じは無く、ややソフトタッチで太い。弦の分解能はもう一つ。また、低域の量感はこの小型DACから想像出来ない程タップリとしているので驚くが、とても柔らかいゴムボールのような弾力的な感触でスピード感はイマイチ。また、高域はまろやかだが、一部にアクセントがあって、聴感上のキレを演出しているようで、ポピュラーのボーカル系音楽にはそれとなくマッチする感触。

 ただ、音場感は独特で、これは後述のUD-501もそうだが、左右スピーカーの内側左右とセンターの3点に展開するというか、外側、またはスピーカーを無視して空間に広がる感じの無い独特の音場感になる。丁度ヘッドホンで聴いている感じに似ているというと語弊があるかもしれないが、目に見えるようなその場の音場の再現というのとは違う。

 また、トータルでの情報量は少なめで、frofroでは再生CDが違うのか?と思う位25XSとの差が大きく感じられる。全体にソフトで靄が掛かったような雰囲気だが、多少空気が湿ったような感触でスッキリしない。ボーカルは落ち着いた感触だが歌詞がもう一つハッキリしない。正直、これは僕の好みではない。

 リビングで小中音量で気軽に音楽をBGM的に聴くには良いと思う。または、PCの前でパソコンよりはもっと良い音で、という要望には応えてくれる。

 が、大型、または小型でもハイトランジェントなオーディオマニア向きのシステムで「音」を聴く、という要望には向かないと思う。そもそも、これはヘッドホンで音楽を楽しむためのシステムだから、我が家のシステムには向かないのだと理解した。

 それは音源がCDでありハイレゾじゃないからだ!という気もしたので、更にPCMをDSDに変換して再生してみたが、これも印象は繊細で極めが細かくなり変化するが、全体の音の印象が激変することはなかった。やっぱり同じ傾向の音である。

 よく、「DSDにすれば上質のアナログに限りなく近くなる、」といわれるので、先のCD-RをDSD変換してみたが、申し訳ないが元の音とは、とても似ても似つかぬ音になってしまう。

 何故なら、右手に本物のLPがあるので、レコード再生してみたが、これは目が覚めるような切れ込みと分解能で、カルチャーショックを受ける位だからだ。本物の元が直ぐ右にあるので言い訳は出来ない。まるで違う・・・。

 残念ながら、DSD変換の恩恵は僕にはまったくなかった。音色を変えて楽しむ、という向きには良いが、これはまた別の趣味だと思う。

 で、今度はSY-99氏の生録DSDを再生してみたが、これは元の良さが出て非常にナチュラルな音である。鳥の声はとても自然だ。これは良いと思う。これは収録も再生も条件がオリジナル再生だからだろうか。やはり変換した音とはひと味違う。当たり前か、。でも、こうなると先程の不満が気になる。もっと好みの音場感と音が出せれば、更に良いはずだと目論むからだ。

 さて、次はTEAC-UD-501も繋いでみる。こちらもドライバーと専用アプリをインストールすると機能する。作りはDAC-10よりも高いだけあって、左右モノコンストラクションで、バランス出力まで付いて現状の殆どのファイルフォーマットに対応しており、DSDはネイティブ再生と最近流行のDoP再生の両方の方式に対応しているから豪華だ。

 DAC-10もかなり豪勢な仕様だが、更に贅沢で、これ一台あれば、当分ハイレゾ音源の扱いは困らないのではないか。重量も大きさはコンパクトだがかなり重い。

 で、音だが、その前に専用アプリがちょっと使いにくい。PC画面の側にいないとボタンが押せないというか、フォントを大きくすると表示がオーバーしてしまうので、これは操作はちょっとやりにくい。この点ではKORGの方がPCソフト作成慣れしていると感じる。

 さて、音の印象だが、これはDAC-10よりもう少し明るい感触で、ピアノはやや軽快になる。また、25XSと同メーカーということで、多少音色に共通点はある。ニュートラル基調というか、強烈なキャラクターはあまり感じない。

 ただ、それが反対に全体の印象としてはハッとするような部分が無く多少平凡な感触もある。

 高域は明るいが、25XSのような鮮烈で透明クールな感じではなく、全体の分解能も25XSに比べるとやや落ちるので、音の輪郭の線は少し膨らんだようになる。ボーカルはオーソドックスだがやはり全体に少しソフトな感触でエネルギー感はもう一つ。金属楽器の切れ味は先端が研ぎ澄まされたような感じではない。でも、この手の機材はあまり尖らない方が良いのかも知れない。

 低域はこちらも量感はタップリしているが、やはりゴムのような質感で中身が詰まっていないような印象でちょっと大味。低弦の音程はあまり明確な方ではない。ドラムの締まりももう一つで底力のあるハードな感じとは違う。

 音場感だが、やはりこのDACもスピーカー内側左右に引っ付いたような前後感で、奥行き感の表現は独特。

 勝手な想像だが、これはやはり「ヘッドホン」で最終的なヒヤリング調整をしているからではないか?と勘ぐってしまう。つまり、この手の製品は専用機のようにLINEアウトが最終出口ではないからだ。

 ヘッドホンで前後感を出すのは難しい。セパレーションが取れているにも関わらず、人間の耳というのは不思議だ。ダミーヘッド録音でも前後の音場感を出すのは昔から難しいとされていたから、やはりそのためだろうか。

 25XSはヘッドホン端子はない。ということは、アンプに繋いでスピーカーでヒヤリングテストするしかなったはずだ。となると、これは根本的に試聴環境により評価が大きく異なってくるのではないか。

 つまり、用途はやはりヘッドホンでPCでより良い音を聴きたい、ということなんだろう。それを今のシステムに組み込む方が無謀だということだ。使い方が違うと言われるだろう。

 また、方式による音の違いも確認してみたが、音源がDSDファイルの場合、UD-501はDoP方式よりも、明らかにネイティブ再生(ASIO)の方が良かった。これはSY-99氏の生録を使用させて頂いたのだが、鳥の声のリアリティがまるで違う。DoP方式だと低域側の量感は増えるが、鳥の鳴き声は明らかに膨らんだような感じに変化してしまい、現実感がなくなる。対するASIOだと、これは非常に生に近く、繊細微妙な鳴き声を再現出来た。勿論、これで方式の優劣は分からない。単にこの機材でこのテスト環境でそうなった、ということだ。

 即ち、全ては、

※個人の感想です。

 となるわけなので誤解しないで欲しい。

 ただ、こうなると、やはりもっと上のクラスのDACを聴いてみたくなる。何故なら、CDの音場感が現用の25XSを超えれば、それで今度は全てを聴き直してみたいと思うからだ。

 

 さて、総評としてはかなり厳しい結果となってしまったが、よく考えたら当たり前というか、やはり「価格」は正直だ、ということ。

 当然だが、25XSは大昔の中級機だが、やはりUD-501の倍はしていた。また、大昔のCD-P専用機、実は,バカに出来ないのも実感する。ヒヤリングテスター、及び設計者はいい加減な音決めをしていないということを改めて感じる。

 さあ、ではどうするか?というと、もう少し別の機材も聴いてみたい、という欲求にかられる。でも、対応ファイルや音色の好み、使用アプリ、など問題山積みで、結局身動きが取れない、というのが現状。

 再生アプリはfoobar等、その他も試してみたが、確かに音は違うが、違う音色になってしまう程ではないので、今回は触れない。それよりももっと好みの音がするDACを探してから突き詰めたい。

 また、今回感じたUSB-DAC特有?のこの音場感はちょっと気がかりではある。

 さて、もっと聴いてみたいが、どうするかなあ、、。

 

 

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